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匂いのモニュメント 忘れ去られたエロス

「匂いの墓」の匂いをつくるための基本的な実験プロトコル

準備するもの

機材
  • オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)
  • クリーンベンチ(無菌操作)
  • インキュベーター(培養、37℃一定で保温)
  • 冷蔵庫
  • デジタルスケール
道具
  • 三角フラスコ(計量できる耐熱ガラス)
  • ステンレス製スプーン
  • ハサミ(綿の布切れ、ガーゼを切るため)
  • マイクロピペット
  • コニカルチューブスタンド(「匂いの墓」のインスタレーションに利用)
  • デキャンタ(宇部理科製の特注品、パフォーマンスに利用)
消耗品
  • シャーレ(必要枚数、「匂いの墓」のインスタレーションに利用)
  • コニカルチューブ(ポリプロピレン製、必要本数、「匂いの墓」のインスタレーションに利用)
  • 培地用の試薬
    • フォーゲル・ジョンソン寒天培地
    • マンニット食塩寒天培地
    • 卵黄加マンニット食塩寒天培地
    • ベアード・パーカー寒天培地
  • 人工汗液用の試薬
    • 塩化ナトリウム
    • 乳酸
    • コレステロール
  • 滅菌済みガーゼ
  • アルミホイル
  • ピペットチップ
  • 滅菌済みループ(あるいは、つまようじ)
  • エタノールスプレー
  • ゴム手袋
  • セロハンテープ
  • 油性マジックペン

手順の例

  1. まず、ヒトの身体の腋の下等を、綿の布切れで拭い、皮膚の常在菌を採取する。
    a) 滅菌済みガーゼを3〜5cm角に切って用意しておく。
    b) 両腋、首まわり、足裏などの汗のかきやすい場所から、それぞれ採取する。

  2. 一方で、常在菌の中でも、匂いの生成に関連する菌を選択的に培養するため、その選択培地(環境中に存在する無数の微生物群から特定の微生物だけを生育させる技術)として広く用いられている寒天培地を用意する。
    a) 培地用の試薬(例えば、ブドウ球菌(スタフィロコッカス属)であれば、フォーゲル・ジョンソン寒天培地など、上の消耗品リストに明記の培地)を購入する。
    b) 基本的には、粉末試薬を容器からスプーンですくって、デジタルスケールを使って計量しながら、三角フラスコに入れる。
    c) 純水を計量し、三角フラスコに入れて、よく混ぜ、アルミホイルでフタをする。
    d) オートクレーブで、121℃で20分、加圧滅菌する。温度が十分に下がったら取り出す。
    e) 適温になったら、クリーンベンチ内で(フォーゲル・ジョンソン寒天培地の場合は、マイクロピペットを使って、1%亜テルル酸カリウム溶液を指定の量だけ加える)シャーレに20mLずつ分注する。
    f) 寒天が固まるまで常温で静置する。

  3. 寒天培地が入った複数のシャーレを用意し、その上に先程の綿の布切れを入れ、蓋をして、37℃の温度環境で2~3日間、匂いの生成に関連する菌だけが増えるように培養する。
    a) シャーレの底面(フタではなく、寒天培地の入っている面)の縁に沿って、日付、培地名(FJ:フォーゲル・ジョンソン、M:マンニットなど略称を明記)、性別、採取した身体の部位を油性マジックペンで記載する。

  4. 汗の代わりとなる液体を、粉末試薬と水を混ぜて人工的に調製する。
    a) 基本的には、人工汗液の成分(乳酸50g、塩化ナトリウム100gを900mlの精製水に溶かし、更に精製水を加え1L にする。)をデジタルスケールを使って計量しながら、三角フラスコに入れる。
    b) 隠し味に、コレステロールや垢を加える。
    c) コニカルチューブ(ポリプロピレン製)に分注する。

  5. 最後に、その人工汗液とシャーレの中の菌を混合し、汗液の成分を常在菌が分解することで、匂いのもととなる物質を含む揮発性の気体が発生する。
    a) シャーレの中の培養された菌のコロニーを滅菌済みループ(あるいは、つまようじ)ですくい、上のコニカルチューブに加える。

  6. オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で滅菌する。さらにそれら個別の匂いを混ぜ合わせると、複雑な匂いになる。